高校現場では平成25年度の入学生から新学習指導要領が実施されていますが、数学科については平成24年度からほかの教科に先行して実施されています。必修科目である数学Ⅰには新たに「データの分析」という統計の内容が含まれました。実施前に具体的にその内容を見てみると、四分位数や5数要約、箱ひげ図など初めて聞く用語や概念ばかり。それもそのはずで、私自身学生時代に統計学を勉強した経験はありません。このままでは生徒に教えることはできないとの思いから統計を勉強をはじめたのが統計学との出会いです。
まず最初に「高校の教科書を読むこと」から始めました。教科書を読んでみると用語の説明がしっかりとなされており、その後には必ず具体的な例が載っています。簡潔に記述されておりわかりやすいのですが、一方で何か物足りない。それは「統計の基本的な考え方を理解するとともに、それを用いてデータを整理・分析し傾向を把握できるようにする」ことが高校段階での目標であり、その背後にある理論については詳しくは触れられていないからです。基本的なグラフやデータを読み取って傾向をみる力もちろん大切ですが、やはり教える立場としては理論的な部分についても知っておきたい。気がつけば大学で採用されている標準的な教科書に手を伸ばしていました。そして何か目標を持って学習を進めるために統計学検定を受検することにしました。学習内容が先に進むにつれて、統計学のおもしろさや有益性、理論的に築き上げられた検定の美しさなど、その魅力に引き込まれていきます。
ここで統計学の知識を使った個人的に好きな例を一つあげてみたいと思います。
「あなたはA候補の政策に賛成ですか、反対ですか?」
このような質問に対してどのくらいの人数を調べたら、おおよそ賛成の割合(真の割合)がわかるとおもいますか?
実は目標精度(誤差)が2.5%のときには母集団がどんなに多くても(仮に日本人全員だとしましょう)、1600人程度のサンプル数で十分に目標に達します。さらに目標精度を5%にまで落とすと、サンプル数は400人程度で十分になります。とても不思議に思いませんか??ぜひ、統計学の知識を身につけて、すっきりしてください。
私も最終的には1級合格を目指したいと思っております。