私は広島大学 分子病理学研究室で博士課程として学生をしながら医者をしています。病理医という種類の医者で、希少種です。病理学的な研究でも患者さんと着目する遺伝子やタンパク質を正確に解析するためにも統計の知識が不可欠です。数学自体が好きで数学セミナーの特集を通じて統計検定を知り、試験問題を見て医学部低学年時の私でも受かりそうな2級から受験しようと一念発起しました。
まず取り組んだのは東京大学教養学部統計学教室の統計学入門(基礎統計学I)の読み直しです。学部時代は単に面白かったものが、統計の活用の視点から見直すことでより立体的な理解につながりました。そして後から知りましたが、この本自体のレベルは高いです。
勉強する上で困ったことが、P値を統計ソフトを使わずに計算することや各検定を選択することでした。研究を通じて検定の選択や特性は多少理解しているつもりでしたが、電卓計算や分布の読み方には慣れておらず苦戦しました。しかし、それらは数回分の過去問を行うことで解消できたと思います。受験自体は時計を忘れたぐらいで、何事もなく過ぎ去って行きました。
統計検定2級に合格し、A評価をいただきましたが、研究で行う解析で必要なレベルには程遠いです。昨今は統計でも様々なソフトが出てきており便利になりつつありますが、自分で計算して理解することの大切さは統計検定を通じて改めて実感しました。1級になれば専門的な医学統計が出てくるので少しずつでも勉強を続けていけたらいいなと思っています。最後に、こちらに寄稿させていただける機会をいただけた関係者の方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。