私は現在初期研修医2年目として、周囲の温かいサポートを受けながら仕事をさせていただいています。統計検定の受験を思い至ったのは、論文を読むにあたってその解析方法が十分には理解できておらず、method/resultsの部分を流し読みになってしまっていたことがきっかけでした。統計について深く理解をしたいと漠然と考えていた折、統計検定についてインターネットで知りました。どうやら統計の解釈・理論をバランスよく問う試験内容らしく、自学自習のメルクマールとしては最適でした。1級の合格を最終目標に据え、ひとまずはいつでも受けることが出来る準1級の合格を目標に勉強を始めることとしました。
勉強を進める上での一番の障壁は数学、特に線形代数でした。理系学部の一つとされる医学部ですが、入学後数学や理科を使う機会は他の理系学部に比べて圧倒的に少ないです。一方で統計学は大量のデータを効率よく扱うため、あらゆる箇所で線形代数が必要になります。大学に入ってから線形代数に触れる機会は1年次の教養課程が最後であり、ワークブックの内容を理解するためには線形代数を一からやり直す必要がありました。今は様々な良書が発売されています。遠回りに思えてもそれらの本で線形代数の基礎を先に固めておいたことで、その後の理解がスムーズになったと感じます。
今回最優秀成績賞を頂き大変嬉しく思います。資格勉強を通じて数学の基礎が身についた他、統計学という学問の汎用性と魅力を肌で実感することができました。ただ一方で、現在の自分は広大な統計学という学問のほんの入り口にも立てていないことをまざまざと実感しています。統計ファンとして、今後も楽しく勉強を続けていきたいと思います。
ワークブックの他、以下の本を参考にしました。
佐藤和也他『工学基礎 はじめての線形代数学』。線形代数の初習に最適だと思います。最小二乗推定量の導出までカバーしてくれています。
永田 靖他『多変量解析法入門(ライブラリ新数学体系E20)』。多変量解析法について、ワークブックの内容をかなり噛み砕いて説明してくれています。