私は法政大学経済学部にて、経済統計のゼミナールに所属しています。大学の講義では、統計学の基礎を学び、「統計検定2級」を取得することができましたが、その反面、実務としての統計学、すなわち統計調査については、その仕組みや重要性を実感することはできませんでした。
そんなとき、国勢調査の調査員の募集を目にし、八王子市にて調査員をやらせていただきました。実際に調査対象である世帯を1件1件訪問するのはかなり緊張しましたが、とても良い経験になりました。コロナ禍であったため、統計調査においても例年とは異なる対応を強いられることが多く、苦労したことを鮮明に覚えています。実際に調査対象を訪問する前には調査員説明会が行われ、国勢調査の歴史や集計までの流れ、調査票の取り扱いや記入方法についての詳細な説明を受けました。説明会で得た知識と調査員としての経験から、統計調査は社会全体の情報基盤であること、統計調査の結果を基にしたエビデンスベースの政策立案が極めて重要であることを再認識しました。
この経験を何か形に残すことはできないかと考え、「統計調査士」の試験を受験することにしました。調査統計の流れは既に一通り体験できていたため、試験の内容は身近に感じました。勉強の方針としては、総務省のホームページ等を参照しながら、基幹統計を中心に経済統計の構造を体系的に把握することを心掛けました。どの統計調査をどの官公庁が実施しているかを把握するのに苦労した記憶があります。統計検定の過去問は何度も解き、隅々まで解説を熟読しました。その結果、「優秀成績賞」を頂くことができ、大変光栄です。
「統計調査士」の資格は、調査統計における要点が網羅されており、知識を活用できる場面が多くあります。また、近年調査員の高齢化や不足が大きな問題となっており、調査統計の維持が危ぶまれています。私の経験から、学生の皆さんに「統計調査士」という資格と統計調査員の業務に興味を持っていただければ大変嬉しく思います。