第１回統計検定文部科学大臣賞受賞者インタビュー（統計検定２級）

基本的にテキストと問題集－実際のデータで統計の使い方を身につけると、理論も分析結果も自分のものに！

統計に対する印象は？

高校までに習った統計について、どのような印象をもっていましたか。

高校までの数学で習う「データの活用」といった統計は、ほとんど受験や学校の試験のために、公式を覚え、点数を取るだけのものと思っていました。センター試験でも出題されるのですが、大学の個別試験ではまず出題がなかったりするので、大学に入るために最低限やっておくものという印象でした。

大学で学んだ統計についてはどうですか。

いま、医学部の4年生ですが、1、2年生のときには、医学統計などの授業があり、習う範囲も広く扱う道具も難しくなってきたなと感じていました。しかし、統計学を専門とする学部でもなく、公衆衛生で使う道具として学ぶぐらいだったので、高校のときと同じく、与えられたデータを公式にあてはめる学問という程度の認識でした。研究室に入ったら違う見方になるかもしれないけれど、教養レベルでは、周りの人たちを見ても、単位をとるために直前に勉強する科目としか思っていませんでした。

当時は統計がどのように役立つものだと考えていましたか。

役立つとは思っていました。教科書の問題でも実際のデータを扱うので、他の分野よりは世の中で使われる場面は多いんだろうなと思っていました。しかし、あまり深く勉強することもなく、授業でも多くは扱ってくれなかったこともあり、研究者のように分析を専門とする人しか使わないものだと思っていました。研究や臨床の現場に出て、データを処理したり、論文を書いたりしていれば、理論と実際のつながりもわかるのだろうとは思いましたが、現場に出ていないので、現実感がなく、自分にとっては遠い存在となっていました。

統計検定に挑戦したきっかけは？

「統計」に関心をもった時期や背景を教えてください。

3年生の秋に研究室の配属が決まったとき、そこで、実際にデータを分析する必要性が出てきました。そうなると、高校や大学の1、2年生で習う基礎的な知識が結構抜けていることがわかりました。主体的に研究するためには、少なくともそういったところを理解していないと何も身にならないと思い、統計を基礎からやり直そうと思ったのがきっかけです。

数ある資格の中で、なぜ「統計検定」を選んだのですか。

実は、結構前から、統計検定の存在は知っていました。私は数学が好きで、よくネットを見ているのですが、大学1年生のとき、数理統計をやっている人がXで統計検定のことをつぶやいているのを見たのが最初です。ただ、そのときは受験しようとは思わず、2年間ぐらいして、本腰を入れて統計を勉強しようと思ったときに、統計検定を利用することにしたわけです。独学でもよかったんですが、やはりスパンを決めて、勉強する方がよいと思って受験を決めました。他の検定については知りませんでしたので、対象は統計検定のみでした。

受験に向けて

どのように勉強（準備）しましたか。また、留意したことはありますか。

まず、基礎知識を固めるため、２級の公式のテキストを読みました。半分は「昔やったな」、半分は「全然わからないな」という感じでした。とはいえ、1週間ぐらいでテキストを読み、半分わからないまま過去問を解き、そして、テキストに戻り、また過去問を解くということを繰り返しました。わからないところは、ネットで調べるなどして補いました。
留意したことは、試験ですから、すべての範囲の内容を把握したかったので、わからないところに執着するより、どちらかというと広く浅く、何回もするように心がけました。

おすすめの勉強法を教えてください。

やはり、公式テキストと問題集ですね。公式なので、そこに書いてあることを確実に理解すると試験に受かるであろうと、一生懸命やりました。

勉強中に印象に残っているエピソードはありますか。

テキストと問題集の周回を2周、3周とやったあたりから、急にわかってきた、という感じになりました。統計というのは、やはり実際のデータで計算していくのが大事なので、テキストをただ読んでいるよりかは、具体的な問題を解いていくことで、自分の中での理解が深まっていきました。それまでは、よくわからず、公式に入れれば何とかなるといったものが、実際の使い方を身につけると、本当に「わかった」となったということです。

合格を通して得たもの

合格により、何か変わったことや得られた気づきはありますか？

統計検定の勉強を始める1か月ほど前に始めた研究室での研究では、何をやっているか、正直、わからないままでした。Rなどの分析ソフトも先生や先輩に言われるままボタンを押したりコードを書いたりしていただけでした。しかし、統計検定の勉強をし始め、ある程度わかってくると、どういう意味でコードが書かれているのかが理解できるようになりました。エラーが出ても自分で直せるようになりましたし、ほかの人とも議論ができるようになってきました。

現在の研究にどのように活かせていると感じますか？

いま医学部の4年生なので、普段、統計を使うことはないのですが、時間もできてきたので、研究室の研究に本格的に取り組もうと思っています。

文部科学大臣賞受賞の感想をお聞かせください。

連絡をもらったときにはとても驚き、結果が出たということで、素直にうれしかったです。CBTを終えたとき画面に表示される点数を見て、思った以上に取れたな、という思いはありましたが、まさか自分がこのような賞に選ばれるなんて、まったく思ってもいませんでした。

今後、統計やデータ活用に関して、どのようなことに取り組んでいきたいですか。

せっかく勉強し、賞もいただいたこともあり、続けたいと思っています。興味はずっとあるので、研究室での研究でしっかり活用していきたいと思います。将来的には、臨床を終えたら、大学院も視野に入れ、公衆衛生の分野も修めてみたいと思っています。

統計検定を目指す人へ

最後に、「統計検定」を目指す人へ、アドバイスやメッセージをお願いします。

統計検定を受験することは勉強のモチベーション維持に効果があると思います。統計を少しでもやってみようと思うなら、まず、統計検定の受験勉強から始めて、問題を通して、統計学を理解していくのが一番よい方法だと思います。